事業承継について
平均年齢が高齢化している今日、経営者の平均年齢も60才に手が届きつつある状況です。にもかかわらず、後継者を見つけ、又は育てるのに苦労しているというのが、現状でしょう。
(中略)
後継者確保の問題に加え、後継者候補がいる場合でも、円滑な事業承継に失敗する例が数多く存在していることも事実です。
親の目の黒いうちには円満だった親族関係が、その死去とともに、重しが消えたかのように利害の対立が先鋭化し、ひいては、親族内で絶縁といった例は、一般的な家庭でも起こり得ることでしょう。
その上、日常では起こり得ない規模の財産の譲渡が絡んだり、一生を左右するような企業経営の負託を受けるなどの事業承継問題が議論されるとなれば、尚更です。
わが国において、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割調停事件全体の件数は、年々増加傾向にあり、平成16年で、1万件を超えています。
中には、訴訟にまで発展するケースもありますが、その背景にはこのような親族間の争いも少なからずあると考えられましょう。
また、親族間の争いに限らず、先代経営者が事業承継対策を全くしなかったために、先代経営者の保有株式が事業に関係のない相続人に分散するなどして、会社経営に混乱をきたすというケースも見受けられます。
このようなトラブルを抱えた企業では、社業が発展するところか、経営に悪影響を及ぼし始めるというのも無理からぬことでしょう。
実際に先代経営者が元気だった頃には隆々としていた企業が、「お家騒動」とともに業績を悪化させていくようなケースは数多く存在します。
その場合には単に親族間不和の問題を越えて、従業員の生活さえも脅かされることになってしまいます。
そのような事態を招いてしまった会社の先代の社長は、皆存命中には、「うちに限ってそんなことはない」ときっと思っていたのではないでしょうか。
「事業承継ガイドライン~中小企業の円滑な事業承継のための手引き~平成18年6月」事業承継協議会 より抜粋
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