権利証って
あなたの権利証は登記済証ですか? 登記識別情報ですか?
平成17 年3 月7日に新不動産登記法(以下、「新法」という)が施行されて5年。そこで今回は、新法施行により変更された「権利証」について、改めてお話してみたいと思います。
1. 権利証(権利情報)とは?
「権利証(権利情報)」は、一般的に、「自分がその不動産の所有者であることを証明する書類(又は情報)」という意味で使われております。
所有権を取得した旨の登記が完了した際、登記所から所有権の登記名義人にのみ「権利証(権利情報)」が交付されますが、その権利証を所持していることが、次回の登記申請に当たり、登記名義人本人であることを証明する資料となります。
2. 権利証としての「登記済証」
権利証としての登記済証は、「申請書副本」や「売渡証」等の書類に、登記所が所有権取得の登記の受付年月日・受付番号と登記済の印を押印したものです。
登記済証は、新法施行により原則廃止されましたが、新法施行後においてもオンライン未指定庁たる登記所(※1)においては、新法施行前と同様に登記済証を交付することとされました。
よって、新法施行前に登記した際に登記所から発行される「権利証」は、全て「登記済証」です。また、新法施行後でオンライン指定庁たる登記所に指定されるまでに登記所から発行された「権利証」も、全て「登記済証」です。
※1 平成21年1月1日現在、「オンライン未指定庁たる登記所」はありません。(平成20年7月14日をもって、オンライン未指定庁たる登記所はなくなりました。ちなみに、「オンライン指定庁たる登記所」とは、登記申請をオンラインにより行うことができる登記所のことです。また、登記所により、オンライン指定の運用開始日が異なります。)
上記のとおり、現在、全ての法務局(登記所)が、オンライン指定庁となっておりますが、現在の権利証としての登記済証において、当然に効力が失われることはありません。
また、登記済証は再発行されませんが、紛失等で登記済証がなくなったとしても登記申請ができなくなるわけではありません。(登記済証を紛失等された場合の登記手続については、司法書士にお問い合わせ下さい。)
3. 権利情報としての「登記識別情報」
前述のとおり、不動産登記法の改正により、条件さえ整えば、オンライン、すなわち自宅のパソコンからでも登記申請をすることができるようになりました。こうした法務局をオンライン指定庁といいます。
従来売買などで新たな登記の名義人となった方には、登記済証(いわゆる権利証)が交付されていましたが、オンライン指定庁となりますと、以後登記済証に代わり、登記識別情報が通知されることとなりました。
登記識別情報は、12桁の英数字の組み合わせ
登記識別情報は、12桁の英数字の組み合わせの番号で、土地を売ったりするときには、この12桁の番号を法務局に提供することとなります。
登記済証に代わる登記識別情報とは、12桁の英数字の組み合わせになっており、不動産ごと・登記名義人ごとに発行される情報で、暗証番号(パスワード)のようなものです。(※2)
この登記識別情報は、暗証番号のように秘匿性の高いものですから、書面申請の場合に登記所から交付を受けた「登記識別情報通知書」については、12桁の英数字を記載した部分が見えないように目隠しシール(はり直すことができないもの)が貼られて交付されることとなっております。
新法施行後かつオンライン指定の運用開始後にオンライン指定庁たる登記所において登記した際に、登記所から発行される「権利証」は、すべて「登記識別情報」です。
登記識別情報の紛失
なお、登記識別情報を紛失したり、忘れてしまったりした合場合、再通知はされることはありませんし、登記した際に登記識別情報の発行を不要と選択した場合(※3)も、後日に発行されることはありません。
また、登記済証と同様に、登記識別情報がなくなったとしても登記申請ができなくなるわけではありません。(登記識別情報を忘れた場合の登記手続については、司法書士にお問い合わせ下さい。)
また、登記識別情報を盗まれたり、盗み見をされたりしたとき、不正な登記を防止するための措置として、失効の申出をすることにより、その効力を失効させることもできます。
※2 登記識別情報は、暗証番号のように秘匿性の高い情報ですので、他人に知られないように厳重に管理する必要があります。
※3 登記識別情報は必ず発行されるものではありません。登記名義人となる者が、予め登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合も、発行されません。
そして、登記識別情報が失効していないか、有効性の確認手段として、有効証明請求というものがあります。売買により名義変更をするにあたって、その登記識別情報が有効であるか確認することで、安全な不動産取引が可能となります。
オンラインで登記ができるようになり、従来の手続きと多少異なり戸惑うことがあるかもしれませんが、登記や権利証・登記識別情報などについて不安なことがあれば、司法書士法人JLOまで、お気軽にご連絡ください。