権利証(登記識別情報)を紛失した場合の対応について Part.2
では、権利証(登記識別情報通知)の土地・建物を売却したり、その不動産を担保に金融機関から借入をする際にはどうすればいいのでしょうか?
権利証をなくしたからといって不動産の処分ができなくなるわけではありません。
この場合の代替手段として,【1】事前通知制度、【2】司法書士等の資格者代理人による本人確認情報の提供制度、【3】公証人による登記義務者である旨を確認すのために必要な認証の提供の方法があります。
【1】事前通知制度
事前通知制度は、法務局(登記所)から登記名義人に対して、登記申請の意思確認の照会の書面を「本人限定受取郵便」により郵送する方法がとられます。
通知発送日から2週間内(海外居住者に関しては4週間内)、登記名義人から当該登記申請が真実である旨の記載及び委任状に押印したものと同一印鑑で登記所から送られた書面に押印して、その書面を登記所に提出した場合に限り、登記手続きが進められることになります。
なお、虚偽の申請防止のため、当該申請の3ケ月内に登記名義人の住所変更登記がなされている場合は、前住所にも郵送され、3ケ月内に何度も変更されている場合は、その住所全てに郵送されます。
登記義務者が法人の場合は、「原則は主たる事務所宛の書留郵便」によって送付されます。
また、申出をすれば、法人の代表者の住所宛に送付を希望することができ、この場合「本人限定受取郵便」にて送付されます。
【2】司法書士等資格者代理人による本人確認情報の提供制度
資格者代理人(司法書士等)が、登記申請に先立って登記名義人本人と直接面談し、その者が登記申請権限を有する者に相違ないことを確認した上で、その情報を本人確認情報という資料にまとめて、法務局に提出する手続です。本人確認情報が適正であれば、事前通知を省略して登記が実行されます。
なお、面談の際には、運転免許証やパスポート、権利取得時の資料など本人確認の資料を用意して頂く必要があります。
官公署発行で顔写真付きのものには、高度な本人確認性があるとされています。
運転免許証やパスポートを所持していない場合は、お住まいの市区町村役場で顔写真付きの住民基本台帳カード(住基カード)の交付申請をするといいでしょう。
また、登記名義人が法人である場合の本人確認は原則として、その代表者に直接面談することによって行います。
しかし、大企業等の代表者に直接本人確認をすることは困難な場合があります。
そのような場合には、代表者から権限を授与された支店や営業所の支店長等に本人確認をすることになります。
権限授与の証明として、業務権限証明書をご用意していただき、そこに押印してある代表印と印鑑証明書を照合することによって、権限授与の真正を確認します。
【3】公証人による認証
登記申請人が、公証人の面前で登記申請委任状等に署名押印し、公証人が登記申請人本人であることを確認し、その書類が真正なものであることの認証を受ける手続です。公証人による認証を受けた登記申請書や委任状によって、登記申請を行います。
この公証人の認証を取得するために、公証役場に自ら出向いて頂き、公証人と直接面談して頂く必要があり、【2】の場合と同様、運天免許証やパスポート,権利取得時の資料などを用意していただく必要があります。
登記済権利証や登記識別情報を紛失してしまっても、上記のように登記申請する方法があるのでご安心ください。
しかし、通常は持っているはずのものなので、権利者本人に間違いないか、登記意思が本当にあるのか、なぜ権利証(登記識別情報)がないのか、と念入りに確認する必要があり、労力も費用も時間もかかります。権利証・登記識別情報はきちんと保管しておきましょう。
どうしても見つからないという場合には、通常の登記申請より時間がかかりますので、お早めに司法書士法人JLOまでご相談ください。