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中間省略登記問題

中間省略登記問題

中間省略登記問題については、新不動産登記法が平成18年3月に施行されてから、「登記原因証明情報」の添付が原則必須となり、それまで事実上行われてきた?中間省略登記を申請することは出来なくなり、それに関連して不動産業界において様々な論争がありました。

しかし、一部の雑誌には一定の見解は出るものの、公的機関からの解決案はありませんでした。今回の通知は、中間省略登記を認めるものでは決してありませんが、登記申請を行う立場の司法書士会・登記を受付ける法務省から出されたものであり、この問題に関して一定の結論を出した、重要な通知と思いまして、開示させてもらいました。

通知の内容は、実際の一連の売買契約が、中間者に所有権が移転しない「第三者のためにする売買契約」または「買主の地位譲渡契約」の場合(所有権はあくまでも、A(登記簿上の所有者)から直接C(買主)に移転し、中間者Bには所有権が移転していない場合)には、登記申請においても「A→C」へ直接移転登記することが出来ることが確認され、その際に提出する具体的書面内容も公開されました。

但し、日本司法書士会連合会より、下記の旨が付されているため、実体関係において中間者に所有権が移転しているにも係らず、「第三者のためにする売買契約」または「買主の地位譲渡契約」として、所有権移転登記を申請することは旧来どおり、出来ませんので御注意下さい。

「本通知による登記原因証明情報を作成するにあたっては、甲・乙・丙三者に面談し、登記原因を確認した上で署名をうけること等が必要と考えられます。実体関係を十分把握することなく実体と合わない登記原因証明情報を作成することは、司法書士の職責上認められませんので、十分ご留意の上職務遂行をしてください。実体の合わない登記原因証明情報の作成は、綱紀上の問題になるとともに、法律に抵触することも考えられますことを付言します。」

 

※中間省略登記とは・・・

AB間で売買契約を締結後、BC間で売買契約を締結し、実際の所有権は「A(登記簿上の所有者)→B(転売者)→C(最終の買主)」と移転しているにもかかわらず、登記上「A→C」と所有権が移転したとして登記することです。

 

務省民事局民事第二課長通知について(お知らせ)
日司連発第1490号
平成19年1月16日

司法書士会会長 殿

日本司法書士会連合会
会長 中 村 邦 夫

法務省民事局民事第二課長通知について(お知らせ)

時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
法務省民事局民事第二課長から、「第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転の登記の申請又は買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転の可否について(照会)」に対する通知を受けましたので、別紙のとおりお送りいたします。
本通知は、従来の取扱いを変更するものではありません。「第三者のためにする取引」及び「買主の地位の譲渡」について、甲乙間及び乙丙間の契約内容から実体上も甲から丙に直接所有権が移転していると認められる場合に限定したものであり、甲乙間及び乙丙間双方に不動産売買契約が二つ存在する場合は該当しないことをご理解ください。
また、本通知による登記原因証明情報を作成するにあたっては、甲・乙・丙三者に面談し、登記原因を確認した上で署名をうけること等が必要と考えられます。実体関係を十分把握することなく実体と合わない登記原因証明情報を作成することは、司法書士の職責上認められませんので、十分ご留意の上職務遂行をしてください。実体の合わない登記原因証明情報の作成は、綱紀上の問題になるとともに、法律に抵触することも考えられますことを付言します。
なお、運用などの詳細については、後日、法務省等との協議、又は対策部等における検討の上で通知する予定です。

 

 

1.「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」

第3章の11住宅・土地分野(2)登記制度の運用改善について(通知)」

〔平成19年1月10日付法務省民二第53号〕

 

【法務省からの回答文書】
平成18年12月22日法務省民二第2878号民事第二課長回答
第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転の登記の申請又は買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転の登記の申請の可否について(回答)
本月21日付け照会のあった標記の件については,いずれも貴見のとおりと考えます。

【法務省への照会文書】(平成18年12月21日)
第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権の移転の登記の申請又は買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権の移転の登記の申請の可否について(照会)
甲を登記義務者,丙を登記権利者とし,別紙1又は別紙2の登記原因証明情報を提供して行われた甲から丙への所有権の移転の登記の申請は,他に却下事由が存在しない限り,いずれも受理されるものと考えて差し支えないか,照会します。

別紙1(第三者のためにする契約)
登記原因証明情報

1 登記の目的 所有権移転
2 登記の原因 平成18年11月1日売買
3 当事者     権利者           A市B町1丁目2番3号

(丙) 丙野太郎

義務者           C市D町2丁目3番4号

(甲) 甲山一郎
5(1)の売買契約の買主 E市F町3丁目4番5号

(乙) 乙川花子
4 不動産の表示 所 在 X市Y町Z丁目

地 番 7番9

地 目 宅地

地 積 123.45平方メートル
5 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)甲は、乙との間で、平成18年10月1日、その所有する上記不動産(以下「本件不動産」という。)を売り渡す旨の契約を締結した。
(2)(1)の売買契約には、「乙は、売買代金全額の支払いまでに本件不動産の所有権の移転先となる者を指名するものとし、甲は,本件不動産の所有権を乙の指定する者に対し乙の指定及び売買代金全額の支払いを条件として直接移転することとする。」旨の所有権の移転先及び移転時期に関する特約が付されている。
(3)所有権の移転先の指定
平成18年11月1日,乙は,本件不動産の所有権の移転先として丙を指定した。
(4)受益の意思表示
平成18年11月1日,丙は甲に対し,本件不動産の所有権の移転を受ける旨の意思表示をした。

(5)平成18年11月1日、乙は、甲に対し、(1)の売買代金全額を支払い、甲はこれを受領した。

(6)よって、本件不動産の所有権は、平成18年11月1日、甲から丙に移転した。

平成18年11月5日 ○○法務局●●出張所御中

上記登記原因のとおり相違ありません。
権利者            A市B町1丁目2番3号
(丙) 丙野太郎 印
義務者            C市D町2丁目3番4号
(甲) 甲山一郎 印
5(1)の売買契約の買主  E市F町3丁目4番5号
(乙) 乙川花子 印

 

別紙2 (買主の地位の譲渡)
登記原因証明情報
1 登記の目的 所有権移転
2 登記の原因 平成18年11月1日売買
3 当事者     権利者           A市B町1丁目2番3号

(丙) 丙野太郎

義務者          C市D町2丁目3番4号
(甲) 甲山一郎

買主の地位の譲渡人 E市F町3丁目4番5号

(乙) 乙川花子
4 不動産の表示  所 在 X市Y町Z丁目

地 番 7番9
地 目 宅地
地 積 123.45平方メートル
5 登記の原因となる事実又は法律行為
(1)甲は,乙に対し,平成18年10月1日,その所有する上記不動産(以下「本件不動産」という。)を売り渡す旨の契約を締結した。
(2) (1)の売買契約には,「乙から甲への売買代金の支払いが完了した時に本件不動産の所有権が乙に移転する。」旨の所有権の移転時期に関する特約が付されている。
(3)地位の譲渡契約
乙は,丙との間で、平成18年10月11日、(1)の売買契約における買主としての地位を丙に売買により譲渡する旨を約し、甲は、これを承諾した。
(4)代金の支払い
平成18年11月1日、丙は、甲に対し、(1)の売買代金全額を支払い,甲はこれを受領した。
(5)よって、本件不動産の所有権は、平成18年11月1日、甲から丙に移転した。

平成18年11月5日 ○○法務局●●出張所御中
上記登記原因のとおり相違ありません。
権利者      A市B町1丁目2番3号
(丙) 丙野太郎 印
義務者      C市D町2丁目3番4号
(甲) 甲山一郎 印
買主の地位の譲渡人 E市F町3丁目4番5号
(乙) 乙川花子 印

 

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