起業を思い立ったとき知っておきたいこと<その9>
定款 - 相対的記載事項 Part.2
引き続き定款の相対的記載事項です。
定款の相対的記載事項
(1)変態設立事項
(2)設立時発行株式に関する事項
(3)発行可能株式総数
(4)監査役、代表取締役、会計参与、会計監査人の設置
(5)取締役会、監査役会の設置
(6)株式の譲渡制限に関する定め
(7)種類株式に関する定め
(8)株主名簿管理人の設置に関する定め
(9)役員等の責任の減免に関する定め
(10)剰余金配当の定め
(11)取締役会の招集通知期間の定め
(12)役員等の任期の伸長
(13)取締役の選任についての累積投票の排除
(14)株券発行の定め
(15)単元株式数
(16)補欠監査役の任期
(17)清算人の定め
(2)設立時発行株式に関する事項
株式会社の設立に際して次に掲げる事項は、定款で定めることができますが、これらの事項を定款に定めていない場合には、発起人全員の同意を持って定めることができます。
a、発起人が割り当てを受ける設立時発行株式の数
b、発起人が割り当てを受ける設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
c、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
たとえば、払込金総額のうちいくらを資本準備金として積み立て、いくらを資本金に組み入れるかを定めます。
この場合払込金総額の2分の1を超えない額を資本準備金として積み立てることができます。
(3)発行可能株式総数
発起人は、会社設立に際して発行可能株式総数数を定款で定めていない場合には、株式会社の成立のときまでに、発起人全員の同意を持って定めなければなりません。
設立時発行株式の総数は、この発行可能株式総数の4分の1を下回ることができません。
ただし、設立しようとする株式会社が非公開会社の場合には、4分の1の制限はありません。
したがって、発行可能株式総数を設立時発行株式の総数の10倍とすることも、100倍とすることもできます。
(4)監査役、代表取締役、会計参与、会計監査人の設置
イ、 監査役および代表取締役
株式会社において、取締役は必要常設の機関ですが、監査役および代表取締役は任意的機関で、定款に定めなければ置くことができません。
ロ、 会計参与
会計参与は、会社法によって新たに設けられた機関であり、会計参与の職務は、取締役と共同で計算書類およびその付属明細書、臨時計算書類などを作成することです。
会計参与になることのできるものは、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人です。
ハ、 会計監査人を置くには、定款にその旨の定めがなければなりません。
(5)取締役会および監査役会の設置
イ、 取締役会
定款で取締役会を設置する旨の定めがなければ、取締役会を設置することはできません。
しかし取締役会の設置を選択した場合には、取締役を3人以上選任しなければなりません。
なお、公開会社は必ず取締役会を設置しなければなりません。
ロ、 監査役会
監査役会も、定款に監査役会を設置する旨の定めを置かなければ、設置することはできません。
そして、監査役会の設置を選択した場合には、監査役は3人以上置かなければならず、そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません。
(6)株式の譲渡制限に関する定め
株式の譲渡は本来自由であり、株主は会社対して自由に出資したり、出資した資金を自由に回収できるのが原則です。
しかし、株式の譲渡が自由であると、会社買収や経営権の侵害の脅威にさらされることにもなります。
そこで、定款に定めることにより株式の譲渡を制限することが可能とされ、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止することができます。
定款に株式の譲渡制限に関する定めを設けている会社を、非公開会社、発行する全ての株式について譲渡制限に関する定めを設けていない会社を、公開会社といいます。
この株式の譲渡制限に関する定めとして、具体的には『当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会(取締役会)の承認を受けなければならない』等と、定款に記載することになります。
(7)種類株式に関する定め
種類株式を発行する場合には、その種類株式に関する定め、および、発行可能種類株式総数を定款に定めなければなりません。
(8)株主名簿管理人の設置に関する定め
株主名簿管理人とは、株式会社に代わって株主名簿の作成、および、備え置きその他の株主名簿に関する事務を行うものをいいます。