起業を思い立ったとき知っておきたいこと<その7>
定款 - 絶対的記載事項 Part.3
このページでは、下記の定款の絶対的記載事項のうち、c・d・eについて
a.目的
b.商号
c.本店の所在地
d.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
e.発起人の氏名、または名称及び住所
c.本店の所在地
会社の住所は本店の所在地にあるとされています。
定款には住所のすべてを記載する必要はなく、最小行政区画まででよいことになっています。
最小行政区画とは
東京都の23区においては、「区」、その他においては、「市町村」です。
そこで、政令指定都市(京都、大阪、横浜、名古屋、神戸、札幌、川崎、仙台、北九州、福岡、広島、千葉、さいたま、静岡、堺)「区」ではなく「市」まででOKということです。
具体的には『当会社の本店は東京都千代田区に置く』とか、『当会社の本店は北海道札幌市に置く』といった記載になります。
住所すべてでなく、最小の行政区画までを定款に記載するメリット
例えば、本店の所在場所を東京都千代田区A町1丁目1番1号とする会社が、定款に『当会社の本店は東京都千代田区に置く』と定めて設立されたとします。
そしてこの会社が後に本店を移転する場合、東京都千代田区内で移転する限りは、株主総会を開いて定款変更決議をするという必要がないのです。
実際には小さな会社ですと、自宅を本店とするところからスタートし、会社の成長にあわせて本店移転をしていく、というパターンもみうけられます。
なお、会社の所在場所(住所)は登記事項なので、定款の記載がどうであれ、本店移転の際には必ず登記はしなければなりません。
d.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
『設立に際して出資される財産の価額』とは、発起人の出資払い込み金額の合計額のことです。
期日までに出資を履行しなかった場合には、その者は株式の引受けをする権利を失います。
この場合でも、その他の者の出資財産の価額が定款に定めた『設立に際して出資される財産の価額の最低額』を越えている場合に、は設立手続きをそのまま続けることができます。
しかし、その他の者の出資財産の価額が定款に定めた『設立に際して出資される財産の価額の最低額』に満たなかった場合には、設立手続きを続行することはできず、たとえ、そのまま会社を設立したとしても、設立無効原因となります。
e.発起人の氏名、または名称及び住所
発起人とは、実質的には会社設立の企画者ですが、形式的には定款に発起人として署名(または記名押印)した者をいう、とされています。
したがって、会社設立に関わっても、定款に発起人として署名(または記名押印)していない者は、発起人とはいいません。
なお、発起人は設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません。
発起人の資格と員数
発起人の資格には、別段の制限はありません。
従って、成年の自然人のみならず制限能力者や、法人も発起人になることができます。
未成年者が発起人になる場合には、法定代理人の同意が必要であり、成年被後見人の場合には成年後見人が代理して定款に署名または記名・押印します。
被保佐人については、保佐人の同意を得て発起人になることができます。
会社が発起人になるにはその発起行為が、会社の目的の範囲内の行為でなければならないとされています。
発起人の員数は1人以上であれば、何人でも差し支えありません。