起業を思い立ったときに知っておきたいこと〈その5〉
序 - 定款の作成
1.定款とは何か
定款とは会社の組織や運営についての根本的な規則を記載したもので、いわば会社の憲法ともいうべきものです。
定款は株式会社に限らず、どんな会社でも必ず必要です。
会社設立の際に作成した定款を『原始定款』といい、これには発起人全員が署名(または、記名押印)しなければなりません。
2.定款には何を記載すればいいのか
定款に記載する事項には、必ず記載しなければならず、その記載がなければ定款として無効となってしまう『絶対的記載事項』と、定款自体の効力には影響しないが、定款に記載がなければその事項の効力を生じないとされている『相対的記載事項』があり、更にその他の記載事項を『任意的記載事項』としています。
任意的記載事項は、法律及び公序良俗に反しないことであれば原則として、どんな事項でも記載できます。
絶対的記載事項はつぎの通りです。
a.目的
b.商号
c.本店の所在地
d.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
e.発起人の氏名または名称および住所
絶対的記載事項 Part.1 目的
a.目的の決め方
「目的」とは、会社の事業内容のことで、会社はこの定款に記載された(登記された)目的の範囲のことでなければすることができません。
目的の項目数には制限がないので、いくつでも挙げることができます。
後日、事業目的を追加するとなると定款の変更が必要となりますので、将来行う予定のある事業もあらかじめ列挙しておくとよいでしょう。
しかし、多すぎると、何をしている会社なのかわからなくなり、取引先の信用が得られない恐れがありますので、5から10項目程度、多くても20項目ほどに抑えておきましょう。
注意点
注意しなければならない点としては、まず、当然のことながら違法な行為や公序良俗に反するような行為は認められません(適法性)。
また会社である以上は、営利性を有するものでなければならないとされています。
ボランティア活動を事業目的にすることはできません(営利性)。
さらに、“一般人”がみてその会社がどのような事業を行っているのか判断できるものでなければならない、ともされています(明確性)。
なかなか基準が難しいところですが、用語辞典(『現代用語の基礎知識』『imidasu』『知恵蔵』など)に掲載されているかがひとつのポイントとなるようです。
加えて、官公署の許認可や届出が必要な事業については、それにみあった目的を検討しなければなりません。
許認可・届出が必要な事業としては例えば、飲食関係ならば保健所の許可または届け出、古物営業ならば警察署の許可、宅地建物取引業ならば都道府県知事または国土交通大臣の免許、などがあります。
ちなみに、会社の事業目的を登記しなければなりませんが、その中で行政の許認可が必要な事業(例えば、宅地建物取引業や旅行業など)を目的とするときでも、許認可を得ずに登記しても問題ありません。
もちろん実際に事業を行う場合には、許認可が必要になりますが、登記すること自体に許認可が必要な訳ではないからです。