一般社団法人の設立手続について
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)」(以下、「法人法」と言います。)に基づいて設立された社団法人のことをいいます。
一般社団法人は、「設立の登記をすることによって成立する法人」です。
一般社団法人を設立する際の手続きの流れは、次の通りです。
(1)【設立時社員の確定】
設立に当たっては、2人以上の社員が必要です。
一般社団法人の社員には、法人もなることができます。
ちなみに、設立後に社員が1人だけになっても、その一般社団法人は解散しませんが、社員が欠けた場合(0人となった場合)には、解散することになります。
(2)【定款を作成する】
定款は、法人の組織・運営及び管理について定めた法人の基本となる規則です。
定款に必ず記載しなければならない必要的記載・記録事項は、
1、目的
2、名称
3、主たる事務所の所在地
4、設立時社員の氏名又は名称及び住所
5、社員の資格の得喪に関する規定
6、公告方法
7、事業年度
があります。
(3)【公証人による定款の認証】
定款については公証人の認証が必要です。
公証人の認証は株式会社の場合と同様、主たる事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局所属の公証人の認証でなければなりません。
なお、公証人の認証料は、1件5万円(公証人手数料令35条)であり、定款には4万円の印紙を貼付する必要はありません。(その他必要となる諸費用があります。)
(4)【設立時理事及び設立時監事等の選任】
設立時理事、監事設置一般社団法人の場合は設立時監事、会計監査人設置一般社団法人の場合は設立時会計監査人については、原則として定款でこれを定めますが、定款で設立時理事等を定めなかったときは、設立時社員は、公証人による定款の認証後遅滞なく、設立時理事等を選任しなければなりません。
設立時役員等の選任は、設立時社員の議決権の過半数をもって決定します。
(5)【設立時社員による主たる事務所の所在場所の決定】
主たる事務所の所在地は定款の必要的記載又は記録事項ですが、定款に主たる事務所の所在地を定める場合には、市町村(ただし、東京都の特別区の存する区域にあっては区)まで定めればよいとされています。
主たる事務所の所在場所の決定は、設立時理事ではなく、設立時社員がします。
(6)【設立時理事及び設立時監事による設立時手続きが、法令又は定款に違反していないことの調査】
設立時理事(設立しようとする一般社団法人が、監事設置一般社団法人である場合は、設立時理事及び監事)は、その選任後遅滞なく、一般社団法人の設立の手続きが法令又は定款に違反していないことを調査しなければなりません。
設立時理事等は、一般社団法人の設立の手続きが法令若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、設立時社員にその旨を通知しなければなりません。
(7)【設立時代表理事の選定】
設立時理事は、設立しようとする一般社団法人が理事会設置一般社団法人 である場合には、設立時理事の中から一般社団法人の設立に際して 代表理事(一般社団法人を代表する理事をいいます。)となる者を選定しなければなりません。
この選定は、設立時理事の過半数をもって決定します。
なお、設立時代表理事は定款に定めることもできます。
(8)【基金の募集・拠出】
基金とは、法人法の規定により一般社団法人に拠出された金銭その他の財産であって、当該一般社団法人が拠出者に対して法人、及び当該一般社団法人と当該拠出者との間の合意の定めるところに従い、返還義務を負うものをいいます。
基金の返還は、剰余金の分配ができないという一般社団法人の性質上、利息を付することはできません。
なお、基金制度は、設立に必要な費用(定款の認証料、設立登記の登録免許税、司法書士の手数料)及び一般社団法人の活動の原資となる資金を調達し、一般社団法人の財政基盤を安定させるためのものです。
基金の募集をするか否かは当該一般社団法人の自由ですが、基金の募集をしない場合は、設立に伴う費用及び活動資金は寄付又は借入金により賄うことになります。
(9)【設立登記の申請】
法人を代表すべき者(設立時理事又は設立時代表理事)が、次に掲げる日のいずれか遅い日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記の申請を行います。
(1)法人法20条1項の規定による調査が終了した日
(2)設立時社員が定めた日
登録免許税は、申請1件につき、主たる事務所の所在地においては6万円、従たる事務所の所在地においては9,000円となります。
参考文献『一般社団法人設立登記書式集』(神?満治郎著)
参考HP:一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A(法務省民事局)
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